「「おはようございます!」」
現場に着くと、綺麗に揃った挨拶が聞こえてきた。
「おはようございます。よろしくお願いします」
あたしも丁寧に返す。
「陽奈、矢口が待ってる」
「あ…はい」
星野さんにそう言われ、あたしは矢口さんの待つメイクルームに移動した。
「矢口さん、おはようございます」
「おはよう、陽奈ちゃん」
メイクルームの扉を開けると、矢口さんが準備万端!という状態で待っていた。
朝が早いにも関わらず、メイクはばっちり。
髪の毛も綺麗に巻いてある。
「よろしくお願いします」
「はーい!そんなかしこまらないで、リラックスして?」
緊張でガチガチになっているあたしに、矢口さんは優しくそう言ってくれた。
「…ありがとうございます」
「さっ、記念すべき女優デビュー日だし!?とびっきりかわいくしちゃうからね!」
矢口さんはお話しながらちゃっちゃとあたしの顔にメイクをする。
…これがプロなんだ。