落ち着いた男を、家の中にいれ、話をすることになった。


「で、全部あんたの勘違いだったってこと?」

強気で訪ねる浩多。


「…っ、ほんとすまねぇな、」

弱気で答える男。

さっきとはまるで立ち位置が逆だ、



「あんた、美紀のお姉ちゃんの彼氏なんだよね?
だったらさ、聞いてないの?…あのこと、」


「…あのこと?」

ピクッっと眉毛が動いた男の様子からして、あのことーー…美香がもうこの世にいないこと…ーーを知らないんだと分かった。