「別にいいけど、」

しばらく沈黙が流れたあと、
「よいしょ」と男が靴を脱ぎ、家に上が……ーーーろうとした。


それを私が、止めたのだ。

「はぁ?お前ふざけてんの?」

すごい険相の男に、私は言った。



「…あなたは、誰ですか?」

ー…言った。
すこし怖くて、小さな声になってしまったけれど、それでも言った。


安堵している私とは正反対に、目の前にいる男の顔はますます険しくなっていく。