そして、その男の人は私に一言も口を開かせる隙を与えず

建物と建物の狭い間に連れていかれた。

そして、
「 っ…!」いきなりキスをしてきた。

初めてなのに。
好きな人としたかったのに。
それに、相手は私を美香だと思っている。
自分に他の人を重ねられキスをされるのは、想像以上に辛かった。
ましてや、初めてだったから…


私は無意識に、その男を突き飛ばしていた。


ドンッ「ってぇな!」
押した衝動で、後ろの壁に当たったみたいで、すごい形相でこちらをにらんでくる。

「っ…!」

その視線に耐えられず、私は無我夢中で走った。

「おい、待てよ!」

と、男が追い掛けて来てるのなんて気付いてないまま。