「えっと、まず言っておかなきゃならないことがある…。
俺、北海道に引っ越すことになった。」

二人の顔から、スゥっと何かが消えた気がした。

「…え?」

そして、思い沈黙をその言葉が破った。


「どういう、こと?」


「この間、俺の母さんに会っただろ?」

コクコク、と頷く二人。



「俺の母さんさ、もうこの世にはいないはずだったんだ。
『亡くなりました』ってたしかに医者からそう聞いたはずなのに、なんで俺の前に母さんがいるんだろうって。
信じられなかった。
意味がわからなかった。
嘘だろ?何で?って、何度考えても分かんなくて。」

納得したような顔になったのを見て、やっぱり疑問に思ってたんだな と悪く思う。


そして、シーンと静まりかえっている空気に 消えそうで、脆そうな息を飲む音がした。