清佳の質問攻めからなんとか逃れ、屋上に向かう。

きっと今日も、彼はいる。



「こんにちは、瑠璃」

にっこりと笑顔を浮かべる彼。

「俊」

私は隣に腰を下ろす。

私を見て、彼は急に顔を歪めた。

「あの、その、昼間は、ごめん……」

「あーうん、痛かったー」

「ごめん!」

謝る俊を見て、つい笑ってしまった。

「嘘だよ、大丈夫って」

「本当に?」

私は、心配する彼を安心させるように笑顔を見せた。

「…あー、でも、周りの子が見てたよ」

「周りの子?」

私はそっと頷いた。

彼が私を助けたとき、周りの女の子が私を見て何か言ってた事がとても気になっていた。

「きっと、私の代わりに俊が怪我しちゃったから、俊の事が好きな子が怒ったのかも」

「え、俺、怪我してませんよ?」

彼がそう言っても、私にはわかってた。

彼の手を取る。

小指の付け根が赤くなっていた。

「突き指、したんでしょ?」