俺は振り返って彼女を見た。
「大丈夫?独りで怖かったんだ?」
まだ、震えている。
彼女が人見知りってことは、初めて俺を見たときの反応でわかっていた。
人見知りの彼女を独りなんて、しなければよかった。
「…ごめん」
すると彼女は がば、と顔を上げた。
「だ、大丈夫!」
笑う口元とは正反対に、目に涙を湛えている。
もっと甘えていいのに。
頼って欲しいのに。
どうして彼女はそんなに無理をするんだろう。
気がつくと俺は、彼女をそっと抱きしめていた。
俺はクラスの中で大きいほうではない。
しかし、そんな俺の腕の中に、彼女はすっぽりと収まった。
彼女の柔らかい髪を撫でる。
こうしていると、すごく落ち着いた。