適当に座り、さっき買ったパンを食べようとしたら、微かに溜息のような音が
…………たぶん聞こえた。

誰かいるのかな………………?

そう思い、音のした方に歩く。

そこには、校舎の壁に寄りかかり、俯いている人がいた。

顔が見えないが、俺にはそれが誰なのか、すぐにわかった。

「溜息なんてついて、何かあった?」

気がつくと、声をかけていた。

声を聞きたいと思ったから。

笑顔を見たいと思ったから。

「……えっ…あ…の………っ」

彼女は肩をびくりと震わせて、戸惑いながらも話してくれた。

鈴を転がしたような、可愛い声。

また、胸がチクリと痛んだ。