今日から高校生活が始まった。
俺は、集合時間より速めに教室に入った。
窓側の席に座り、何となく外を見る。
すると、一人の女生徒が校門をくぐった。
白い顔に、桃色の頬が愛くるしい。
彼女は、ふと 顔を上げた。
目が合う。
その瞬間、ドキリと心臓が高鳴った。
その日の昼休み、俺は屋上へと向かった。
友達がいないわけではない。
高弘と裕太が誘ってくれたけど、断った。
朝、あの子を見てから、頭が少しぼうっとしてた。
気づいたら、あの子の事を考えていた。
それを悟られたくなかった。
だから一人で考えていたくて、屋上へと向かった。
屋上の扉を開ける。
青い空の下は、誰もいない。