「……しゅ、しゅん……」
不安と緊張のあまりに、声が震えてしまった。
右手で彼の袖をつかむ。
俊がこちらを向く。
そして、にこっと笑った。
「二人とも、教室戻ってよ」
「しょうがないなぁ。ほら、いくよ高ちゃん」
何か言いかけた高弘を悠太が校舎の中に押し込めた。
「じゃあ、また後でね。俊ちゃん」
静かになった屋上。
「大丈夫?独りで怖かったんだ?」
私は、まだ息が震えて、声が出せない。
「…ごめん」
「だ、大丈夫!」
俊は悪くない。悪いのは私だ。
謝る必要なんてない。
私は涙を堪えているのがばれないように、俊に笑いかけた。
彼は少し寂しそうな顔をして
そっと私を抱きしめた。
「っ!?!?」
私は、少し戸惑いながらも、頭を優しく撫でてくれる手と、温かい彼に安心した。