教室に入る2つの扉のうち、1つの扉はなぜか生徒は絶対に使わない。


だから、その扉を開けたのは、先生だとすぐにわかった。


「席につけー!!」


と言いながら教室に入ってきたのは、やはり担任の渡瀬だった。




渡瀬は、男子からすぐにいじられる。


名前が、渡瀬 望春(わたせ もちはる)という変わった名前だった。


渡瀬の下の名前を知るまでは、ワタリンとか、ワッターとあだ名をつけて呼んでいた。


下の名前を聞いたとたん、「もちはるーー!」と、下の名前を呼び捨てで呼ぶようになった。