*
――――――――
――――
――
「いっ!....たた」
寒空の下、洗い物をしていれば
指先の皮が割れた。
男所帯なのだから覚悟はしていたが
今まで自然治癒に任せていた小さな傷の再生が追いつかない。
が、そんなことで手を止めたとして何も変わらない。
軟膏を買おうにも外に出してもらえないのだから。
「なんだか....私、ひねくれてきたかしら」
考えている事さえ遠まわしな嫌味になっている気がする、とブツブツ言っていれば視線を感じた。
「....」
振り返れば縁側の柱に土方さんが
身を委ねてこちらをジッと見ていた。
....睨んでいたと説明していた方がいいだろうか。
「あの....何か....」
「....」
何も言わず、ただ見ている(睨んでいる)だけ居心地悪いことこの上ない。
「....あ、」
と、ここで私は脳をフル回転させて答えにたどり着いた。
しかし二択だが。
一つは、私の仕事が遅いと呆れている。
一つは、私など視界にも入らず庭を眺めている。
そうだ、きっとそうだ、と思い
洗い物の速度を上げつつ位置をずれていく。
「....」
――....ま、まだ見られてる。
現状は変わらず、私が移動すれば視線もこちらに向けられた。
とうとう我慢できず洗い物の手を止め、土方さんに駆け寄る。
「あ、あの!何か御用でしょうか!」
眉間のシワに怯えながら、なるだけハキハキと問えば。
「次はもっと早く来い、茶出してくれ」
と、だけ言って寒そうに縮こまりながら自室に戻って行ってしまった。
「....な、な、」
――何なのあの人!!
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「いっ!....たた」
寒空の下、洗い物をしていれば
指先の皮が割れた。
男所帯なのだから覚悟はしていたが
今まで自然治癒に任せていた小さな傷の再生が追いつかない。
が、そんなことで手を止めたとして何も変わらない。
軟膏を買おうにも外に出してもらえないのだから。
「なんだか....私、ひねくれてきたかしら」
考えている事さえ遠まわしな嫌味になっている気がする、とブツブツ言っていれば視線を感じた。
「....」
振り返れば縁側の柱に土方さんが
身を委ねてこちらをジッと見ていた。
....睨んでいたと説明していた方がいいだろうか。
「あの....何か....」
「....」
何も言わず、ただ見ている(睨んでいる)だけ居心地悪いことこの上ない。
「....あ、」
と、ここで私は脳をフル回転させて答えにたどり着いた。
しかし二択だが。
一つは、私の仕事が遅いと呆れている。
一つは、私など視界にも入らず庭を眺めている。
そうだ、きっとそうだ、と思い
洗い物の速度を上げつつ位置をずれていく。
「....」
――....ま、まだ見られてる。
現状は変わらず、私が移動すれば視線もこちらに向けられた。
とうとう我慢できず洗い物の手を止め、土方さんに駆け寄る。
「あ、あの!何か御用でしょうか!」
眉間のシワに怯えながら、なるだけハキハキと問えば。
「次はもっと早く来い、茶出してくれ」
と、だけ言って寒そうに縮こまりながら自室に戻って行ってしまった。
「....な、な、」
――何なのあの人!!