しばらくそうしていたが、だんだんと飽きたのか沖田はあっさり発句集を返した。




土方は大切そうに棚にしまう。




どこに隠しても沖田の手に渡るのでどうしたものかとため息をついた。




「....ハァ、ったく....疲れる」




「もう歳なんですね、土方さん
隠居してもらっても構いませんよ?

近藤さんには僕がいますから」




――ああ言えばこう言う。




土方が嫌そうな顔をすれば沖田は喜ぶだけ。
それはもう経験済みだ。

土方は沖田の戯れ言を無視して話を続けた。




「とにかく....斎藤、あいつを出すことは認められねぇ」




「........」




結果が変わらなかったことに、斎藤は拳を強く握りしめる。




そんな様子を見た沖田が「何の話ですか?」と聞いてきたので土方は事のいきさつを説明した。




「――....ってわけだ」




「ふーん」




あっけらかんとした態度に
ガックリと項垂れる。




「総司....てめぇ人に聞いといて反応それだけか」




「そんなに慌てないでくださいよ、土方さん

....僕もあの子は言いふらさないと思いますよ」




「ハァ?」




意外な発言に土方は眉を寄せる。




――どうしてこうも信頼してるんだこいつら。

沖田に至っては伊勢の処分について「斬るか」などと言っていたのに。




「どういう風の吹き回しだ」




――あの娘....こいつらに何かしやがったのか。




以前甘味処に通っていた二人だが、ここに伊勢が来てからさらに興味を持っているように見える。




沖田がしょっちゅうちょっかいを出しているくらいだ。