「ったく....どいつもこいつも人のことバケモン見てぇに....」




「し、失礼しました」




慌てて頭を下げる斎藤に土方はクスリと笑った。




「まあ俺のあだ名、鬼の副長らしいからな....無理もねぇ」




「何まんざらでもない顔してるんですか、土方さん」




急に能天気な声がかかり、土方が慌てて戸口の方を見れば沖田がいつの間にか座っていた。




片手には、ちゃっかり豊玉発句集を持って。




「クソッ、いつから居やがった!総司!」




「あれ?気付かなかったんですかぁ?
副長失格ですね、土方さん」




クスクスと笑い出して視線の先は土方の句。




「土方さんは俳句作るの好きですね〜
梅の花、一輪咲いても梅は梅....ブフッ」




「てめぇ!何笑ってやがる!」




「アハハハ!だって面白いんですもん」




土方はなんとか発句集を取り戻そうと必死になるが沖田はひらりとかわしてまた一句読みあげる。




斎藤に助けを求めれば小さく方を震わせていたので、土方の怒りは沸点に達する。




「斎藤まで....クソッ!」




まあ、ようするにそこまで土方の俳句が下手ということだ。