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その頃、壬生浪士組屯所では幹部が集まり会議を行っていた。




「それで?会津藩からの書簡には何て書いてあったんだ」




土方がそう問えば近藤は少し躊躇った後、口を開く。温厚なこの人が重々しい空気を纏う時は決まって人の命が左右される時だ。

土方は眉を寄せた。





「吉田屋での事件が問題となり....朝廷から芹沢さんの召し捕り命令が出たと....」




その言葉に誰もが大きなため息をつく。
とうとうこの日が来たか、ようやくか、と口にする者がチラホラ出る。




土方はそんな連中をひと睨みしてから「そうか」と近藤に返す。





「芹沢さんの捕縛命令だが、
会津藩にとって乱暴狼藉は表向きの理由で

強烈な尊王攘夷思想の流れを汲む芹沢さんを会津藩側が危険視したんだと俺は考えてる」




近藤のその読みに反論する者はおらず、同意と取れる。




「捕縛命令か....俺には暗殺命令に聞こえるな」




「トシ!滅多なことを言うな!」




「本当のことだろ、近藤さん

どうせその書簡にも早急に済ませろと書いてあるんだろうが」




「........それは....そうだが....」




芹沢鴨の暗殺。




芹沢の実力は誰もが認めるものだ、容易くないことはわかっていた。




しかし、命令とあれば行わなければならない。皆気を引き締めるように拳を握った。




土方はそれを見逃さず、「今日にするか」と口にする。近藤は目を見張り「だが、しかし」を繰り返した。




「唐突すぎるのは分かる、だがいずれ殺るんだ....今日だろうと明日だろうと構わねえだろ」




さすがに不安を覚えたらしく、黙っていた斎藤が口を開く。




「土方さん、今日ということに関して依存はありませんが....

問題は芹沢さんの暗殺方法かと」




「ああ....それか....」




あの人の後ろを取るには少しばかり骨が折れるからな、と土方も愚痴を零す。
しかし「そこは酔ってベロベロにすればいいんじゃない?」という沖田の案が評価され、あっさりと決まった。




血生臭い、宴会が開かれることになった。