そんな会合が行われた数日後、企みは決行された。




「襲われた?」




今日も賑わう甘味処で日常化してきた大家さんとの会話を私は楽しんでいた。
どこから仕入れてきたのか今日の話題は壬生浪士組についてだった。

なんでも昨夜の巡察中、隊士達が何者かに襲われたらしい。




夜の出来事だった為、近所の人々は怯えながら一夜を明かしたと教えてくれた。

なんともはた迷惑な話だ。




「それで、襲われた壬生浪士組の方々は....」




「ああ、死人は居なかったが随分深手だったらしい
剣の道を絶たれた奴もいたとか」




「そうですか」




死人が出なかったことにホッとしたが、剣の道を絶たれた方がいると聞いて気が沈んだ。

きっと腕に怪我をしたのだろう
刀を持てなくなれば武士としては死んだも同然。




「その方達がはやまらなければいいんですが....」




「ハハッ!伊勢ちゃんは優しいなぁ!
でもあいつらはそれを覚悟の上で壬生浪士組に入ったんだろう、大丈夫だ」




「覚悟....」




それならば沖田さんや藤堂さん、斎藤さんも覚悟はできているのだろうか。
戦地に赴くなんて事があったりして、誰かが死んでしまうかもしれないのだろうか。




「仕方のない....ことなのかな....」




大家さんは何か話してくださっていたが、そのことが気になって頭に入ってこなかった。