一週間だけ付き合って



「私知ってるのよ〜。彩ちゃんと大和が付き合ってること。」


「えっ、嘘!」


なんで知ってるのかな?
大和が教えたとか?


「なんでって顔してるわね。
大和が教えてくれたの。

で、それより大和は一緒じゃないの?」


「あ、はい。今日、西村君は用事があって先に帰りました。」


私がそう言うと奈美さんはなぜかガッツポーズ。


「じゃあ彩ちゃん、これから暇?」


「はい、暇ですけど。」


私がそう答えると奈美さんはニコッと笑って


「じゃあ、どこかお茶でもしよ!
邪魔者もいないし。」


…邪魔者って西村君のことだよね?
遠慮ないなぁ。


「はい、いいですよ。」


私がそう答えると奈美さんは子供みたいにピョンピョン飛び跳ねた。


「お待たせしました。

こちら、カフェオレと
ミルクティーでこざいます。」


カフェについて注文していた飲み物が届く。
ちなみに私はミルクティーだ。


「私ね、彩ちゃんに相談があるの…」


急にしんみりした感じで奈美さんが口を開く。


「な、なんですか?」


さっきまであんなにテンション高かったのに…


「実はね、私好きな人がいるの…」


「野元 真ですよね?」


私がそう言うと奈美さんは目を見開いた。


「なんで、知ってるの?
あ、もしかして大和から聞いた?」


「はい。すみません。勝手に聞いちゃって。」


私がそう言うと奈美さんはニコッとわらった。



「全然大丈夫。どっちにしろ、今話そうとしてたし。

それで、相談。私これからどうしたらいいと思う? 私真がいなかったら生きていけない…」


そう言ってため息をつく姿は女の私でも見惚れるほど綺麗だった。


それは多分、恋する女の子の顔をしていたから。


「奈美さん、私応援します。」


「うん、ありがと。」


私に微笑みかける奈美さん。


「私、頑張ってみるわ。

せっかく彩ちゃんが応援してくれてるんだもん。

やれるだけやるわ。」


そう意気込む奈美さんに


「頑張ってくださいっ!」


と応援してから私たちはカフェを出た。

あれから数日が経って、今日は日曜日。


今、西村君の家にいます。


今日は西村君のお父さん、お母さんはいないみたい。

西村君の家の執事やメイドたちも、今日は一斉休暇で誰もいない。

つまり、この家にいるのは私と西村君だけ。


なので、リビングでのんびりくつろぎ中。


すると西村君が


「ちょっと、俺、買い物行ってくるわ。

彩は家で待ってて。喉乾いたら適当に、冷蔵庫のジュース飲んでいいから。」


と言って、出かけてしまった。


西村君がいない間、何しようかな?

あ、そうだっ! せっかくだからこの家を探検しよ。


この家、広いしね。
探検のしがいがあるよ。

そう思い、私は探検することにした。

「へー、こんなところに図書室があったんだ〜。じゃあ、あっちの部屋はなんだろ?」


さっきから新しい発見がたくさん。

はあ、なんでこんなに広いんだろ。
身分の差ってやつだね!

しばらくすると、喉が渇いたので、
私の部屋より広い台所へ向かう。


そして、冷蔵庫を開けて缶ジュースを選ぶ。すると私の好きなリンゴジュースが。


「じゃ、いただきます。」


そう言って、ゴクゴクと飲む。


「美味しかった…」



あれ?なんか頭がボーッとしてきた…。
それになんだか身体中が熱い。


どうしちゃったんだろ。私ーー


そこで、私の意識は途切れた。




大和 side




「ただいま。」


買い物も終わり、リビングに入る。


あれ? 彩がいない。
ジュースでも飲みに行ったか?


そう思い、台所へ向かう。


すると、


「彩⁉︎ 」


なぜか彩がたおれていた。


でもよく見ると彩の手にはビールが握られていた。


そのビール缶には『リンゴ 果汁10%』と書いてあった。


「あー、そういうことか。」


つまり、彩はこのビールとリンゴジュースを間違えて飲んだ。

そして、酔ってここで熟睡。ってわけですか。


それはそうと、どうしよう。こいつ。
ベッドに運ぶか?


そう思い、抱き上げてベッドへ向かう。

寝室につき、ベッドで寝かせる。


「とりあえず、これでいいか。」


まあ、しばらく寝かせれば酔いも醒めるだろうしな。


ーーー
ーー


あれから1時間が経った。


そろそろ目を覚ましてもいい頃だけど。

そう思い、寝顔を覗き込む。

すると、


「んー! おはよ…」


彩が目を覚ました。

そして俺を見て、


「あー、にしむらくんだあ。
にしむらくん、すきー!」


そう言って抱きついてきた。


ってこいつ、まだ酔い醒めてねーのかよ。

「一旦、手を離そうか。」


「えー、やだー。なんでー?」


なんで、ってそりゃあ、

俺の理性が切れそうだから。

だけど、そんなこと言えるわけねえ。
言ったとしても、酔っ払ってるこいつにそんなこと言っても無駄だ。


「理由なんてないよ。
ただ、離してほしいから。」


ちょっと冷たく言ってみる。


どうせ、こいつは酔っ払ってるから次の日には何もかも忘れてるだろうし、

このまま、こいつに手だして嫌われるよりはこっちの方がよっぽどよかった。


すると彩は急にシクシクと泣き出した。


「うぅ…にしむらぐんは、わだじのごどぎらいなんだぁ…」


急に泣き出した彩に少し戸惑う。