一週間だけ付き合って


「じゃあ今日から一週間よろしく。」



学校一のモテ男と
付き合うことになった平凡の私。



なんで? それは1時間前に遡る。


私、藤原 彩、高校一年生は
今ピンチです。



なにがピンチかだって?
そんなの決まってるじゃない。



学校一のモテ男と同時に
私の苦手男子ランキング1位の

西村 大和君と一緒に
二人きりの密室で
雑用を頼まれちゃったのよ!

先生め! 一生恨む。




そして今雑用を頑張ってます。
…西村君と一緒に。




雑用というのは資料でホッチキスで
止めるという簡単でめんどくさい仕事。

そして私は超がつくほどの不器用で
ホッチキスに苦戦中。



「うぅ…また失敗したぁ。」



失敗したホッチキスの芯をとる。
でもーー


「痛っ!」


ーー怪我をしてしまいました。



指からは血が。
どうやらホッチキスの芯を
指に刺してしまった様子。

「いったいなぁ…。絆創膏、絆創膏。」



絆創膏を鞄の中から探す。



不幸に不幸は重なるようです。



絆創膏を家に忘れました…。



なんで私はこんなについてないんだろ…



西村君と一緒に雑用をやらされるし、

ホッチキスで怪我するし、

おまけに絆創膏忘れるしさあ。



ま、まさかっ、神様、私に意地悪してる?

私なーんにも可愛くないし、
いい子じゃないから…。



うん、絶対そうだ!

神様は可愛い子には優しいんだよ!

「それにしても、痛いなぁ。

絆創膏、なんで家に忘れたんだろう。

こんな時に限ってさ! ひどいよ…」



私が一人つぶやいていると西村君が
私の手を掴んだ。



「なに? 怪我したの?
こんなの吸っとけば血止まるよ。」



そう言って西村君は
まだ血が止まらない私の指を、


ーーパクッ


口に入れた。



そして吸われる感じ。


吸われて痛い、という気持ちより
恥ずかしい、という気持ちが勝って
私の顔は真っ赤。



そして私の指の血を吸い終わった西村君。


「止まったな。」


私の手を離して私の顔を見る。


私の真っ赤な顔を見て我に返った西村君。



「わ、悪いっ!」



西村君の顔もみるみる赤くなっていく。



すると西村君は急に真剣な表情になって




「今日、放課後この教室来て。」



と言った。



「えっ、あ、うん。わかった。」



私がなんとか返事をすると西村君は
作業を再開した。

放課後。


「彩〜、帰るぞ〜。」


「彩ちゃん帰ろ!」



と2人の親友に誘われる。


最初のセリフは水無月 由佳ちゃんで
少し男っぽいけど超美人さん。

次のセリフは坂野 マナちゃんで
帰国子女の超可愛い女の子。



2人とも私の大好きな親友。



「ごめん! 今日、ちょっとこれから呼び出しがあってね。」



「え、呼び出し? 男? 女?」



私の言葉に反応するマナちゃん。



「えっと、男、かな。」



私がそう答えるとマナちゃんは急にはしゃぎだした。




「うっそー! 告白かもよ! 頑張れ!
じゃ私たち帰るね!」




と風のように去ってくマナちゃんと由佳ちゃん。



ちょっ、告白なわけないんだから!



そう思いながらあの教室に向かう。



教室に入るともう西村君は来ていた。



「あ、ごめん。待たせちゃった?」



「別に。」



「ならいいけど。
それより西村君、どうしたの?」



私がそう聞くと西村君は



「俺と一週間だけ付き合ってよ。」


となんとも衝撃的なことを言った。




「え?あ、えっと、とりあえず…

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ?」




とりあえず叫んでみた。

…状況変わらず。って当たり前か。




「お前、俺のこと苦手なのは知ってるからさ。一週間だけ頼むよ。」




手を合わせて上目遣いで頼んでくる西村君。

イケメンはいいよね!
上目遣いやったら超可愛いんだもん!



「…わかったよ。でも一週間だけね?」



渋々了承した私。



そして今に至る。


「明日から一週間よろしく。」


「…よろしくお願いします。」


こうして私と彼の一週間が始まった。