「特に異状なしです」


 と言う。


「ああ。お疲れ様」


 樋井はいったんパソコンから目を上げ、言った。


 一礼し、各々デスクに戻る。


 島田がマシーンのディスプレイに見入った。


 俺の方も見始める。


 疲れていた。


 体が。


 帰宅したらすぐに休みたい。


 そう思っていた。


 その日、午後九時過ぎに署を出、新宿駅へと向かう。


 地下鉄に乗り込み、自宅マンションに帰り着いた。