便文を守るためなら。


 実際、公安も手を焼いていた。


 公安の捜査方針は、最初生温くても、どんどん加速させていき、一気に殲滅させる代物のようだ。


 午後三時過ぎに、道場で島田と手合わせしながら、そんなことを感じていた。


 やがて一通り稽古が終わり、島田が、


「済まないね。俺の方が無理に誘ったりして」


 と言う。


「ああ、別にいいよ」と一言言った後、互いに防具を片付け、俺の方が、


「月創会の女性信者逮捕事件は、公安が手掛けたヤマだよな?」


 と試すように訊いてみた。


「ああ。あのヤマがどうかしたの?」


「いや。だってさ、公安が動いたんだから。新聞にも載ってたし」