火薬が残渣し、臭気が辺り一帯に漂う。


 だが、構わずに撃ち続けた。


 淡々としていたのだが、これは警察官なら所定の訓練の一環である。


 武道もしていた。


 でも、剣道をやると汗臭くなるので、二週間に一度ほどにしている。


 これから暑くなってくると、剣道場は地獄のようになるのだし……。


 射撃訓練が午後四時過ぎに終わり、刑事課フロアに戻ってくると、樋井が、


「トノさん、シマさん、今日は定時で帰っていいよ」


 と言ってきたので、俺も島田も頷き、デスクで残りの仕事をこなしてから、フロアを出た。


 そして街を歩き出す。


 島田に、


「シマさん、新宿に酒と摘みが美味い居酒屋が一軒あるんだ。今夜、飲まないか?」