「俺の手荒れ、引くでしょ?」




そう言って、蒼はずいっと両手を差し出す。

大きくて、無骨で、努力の跡が見えるその手を握りたい衝動に駆られる。





「何かいいハンドクリームとか持ってない?」



「ハンドクリームなら……」




そう言って、ちょうどポケットに入っていたハンドクリームを取り出すと……





「塗って」




満面の笑顔でそう言う。




「え……?」




耳を疑う。




蒼、何か間違ったこと言ってない?

ハンドクリームってのはね……





「ねぇ、唯ちゃん。

俺の手に、塗って?」




蒼は甘えたようにそう言って、あたしの手にその手を重ねた。