ふと、戻された蒼の手に目をやる。 その手は少しごつごつしていて、所々ひび割れてガサガサになっている。 これがギタリストの手かと感激する。 そして、この無骨な手で触れられることを想像して、あたしの妄想はさらにヒートアップしてしまう。 この手で頭を撫でられて…… この手とあたしの手を繋いで…… この手で抱き寄せられて…… あたしの甘い妄想は、 「ねぇ、唯ちゃん?」 蒼の甘い声によってかき消された。