―――ひーくんとお別れの日。
その日は桜が開花した日だった。
私はひーくんの家まで行った。
「……はーちゃん!来てくれたんだ!」
「……うん!ひーくん、これ……」
私はひーくんに、クレヨンで画用紙にひーくんと桜を書いたものと、お手紙を渡した。
「ありがとう、はーちゃん!僕、はーちゃんのこと絶対に忘れないからね」
「私もひーくんのこと忘れないよ!また……大きくなったら絶対会おうね!」
そう言った瞬間、泣かないって決めてたのに涙が一気に溢れ出した。
そんな私をひーくんは抱きしめた。
「泣かないで?これはさよならじゃないから、ね?」
ひーくんはひらひらと落ちてくる桜を空中でキャッチして、唇に当てた。
ピーピ―――
「桜笛、またしようね」
笑顔でそう言って、ひーくんは車に乗って、どこかへ行ってしまった。
ひーくんが引っ越すことになって気付いたんだ。
私はひーくんに初めての恋をしてたんだって。