「ウソ……ひーくんは遠くに引っ越して……っ」
「そんなに遠くに引っ越してねぇし。隣町だからな」
「そう、だったの……?」
まぁ、幼稚園のときは引っ越すってだけで、詳しくは知らなかったからなぁ……。
「それに俺がひーくんだって証拠あるよ」
陽太くんはポケットからおまもりを出して、その中から小さく折りたたんだ紙を出した。
「ほら。ずっと大事に持ってたんだから」
その紙は間違いなく私がひーくんにあげた、桜とひーくんの絵だった。
「ひーくん……」
ひーくんだ………。
私の初恋の人……。
「いつから私のこと気付いてたの……?」
私は全然気づかなかったのに……。
「桜笛してるとこ見たとき。朝、ぶつかったときに顔を見て、ん?って思ってたら桜笛してたし俺の話をしてたから確信した」
そう、だったんだ……。