パパにとっても、未だ見ぬ父親に会えるかも知れぬという一大事。


にわかには信じられないという顔をしたパパ。


無理もない。生まれてから63年間、一度も会ったことのない父親、水沢英一郎。


パパにとっては、死んだも同然の存在だったのだ。


しかし、パパは、必ずや、夫は生きて帰ると信じ、


戦後の日本において、女手一つで自分を育て上げてくれた母を


一目、63年待ち続けている夫、水沢英一郎に会わせてあげたいと・・


そう思ったのだ。


その想いは、私たちも一緒だった。


陸と私がいとこにあたる関係である事もあり、


いとこ同士で祖父に会いに行くという事で


パパは、ロシア旅行を許可し、旅費を出してくれた。