レヴァノンとゼオドアと入れ替わりに、カルディア嬢が部屋に入ってきた。
胸元が大きく開いていて、際どいラインまでスリットが入っている、明らかな色じかけドレス。
俺はこんなので騙されないがな。
「オズヴェルド様! お会いしとうございました!」
飛びついてくるのは予想内だったオズヴェルドは、サッと横に動いてカルディアを避けた。
「もう、つれないんだからぁ」
甘えたような声を出されても、何も感じない。
「要件はなんだ?」
「キッシュ家と縁談を結ぶことは、クロヴァローゼ家にとって悪い話ではないですよね?」
またその話か、と思ってしまう。
「正室がだめだとおっしゃるなら、私も側室にしてください」
身体を寄せて、上目遣いでオズヴェルドに囁く。
「悪いが」
「あの娘がどうなってもいいの?」
オズヴェルドが断ろうとしているのを察知したカルディアは、顔を変えて脅しにかかった。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味です」
「それがユノのことなら、私は気にしない」
「それはどうなってもいいという意味ですか?」
「まさか。俺は守りきる自信があると言ってるんだ」
ユノを傷付けさせたりしない。