その数刻前ーーー
オズヴェルドは対応に追われていた。
キッシュ家から、カルディアに恥をかかせたと抗議されたのだ。
先日の部屋から追い出したことと、この間のパーティーのこと。
「全く・・・恥をかかせたくないのなら、俺に会いに来なければいいのに」
「全くそのとおりでございます」
レヴァノンが応接室を整えながら言う。
「準備が整いましたので、呼んでもよろしいですか?」
「ああ」
気乗りしない顔合わせだ。
しかし、キッシュ家の当主が直々に抗議に来ているのだから、無下にできない。
「キッシュ殿、こちらへ」
レヴァノンに促されて入ってきたのはゼオドア・キッシュ。
鋭い黄色の瞳が蛇を連想させる。
「オズヴェルド様、お久しぶりでございます」
「キッシュ殿、よく参られた」
椅子を勧め、話が穏便に済むよう祈る。
「最近の貴方のカルディアへの対応、どう考えていらっしゃるのだ?」
いきなり本題に斬り込んできた。まぁ、その方が話も早く終わるだろう。
「カルディア嬢を部屋から追い出した件については、私の側室に無礼を働いたので当然のことだと思っている」
「貴方様の側室とは、この間のパーティーでお披露目した異世界の娘ですな」
「そうだ」
「あんな身分もない小娘に、カルディアが何を言っても構わないでしょう?」
娘が可愛すぎるのか。ゼオドア・キッシュは、いつもこんな感じなのだ。