宿で軽く食事を済ませ、出発の準備を整えさっそく目的地へと歩き出した

隣街へは数時間歩けば辿り着くはずだが、連れがおりしかも今回の連れは家からまったく出たことがないであろうおぼっちゃま貴族

彼女の計算が正しければ数時間ではすまないだろう



「……ねえ、ヒナタ」


「なに?」


「ギル様になにかしたの?」


と、後ろを歩いてついてくるギルへと視線を向ける

彼の様子がどうもおかしい

昨日の威勢はどこへやら、死んだ魚のような目をしている

しかし、ヒナタと目が合えば一瞬で青ざめ恐怖へと顔が歪む


「なーいーしょ」


ヒナタは何処か楽しそうにそう言った