ピクピクと痙攣したように動くもすぐに動きが止まる

コトノはそれを見たあと


「この馬車にも始めは魔族を避ける為のシエラジュエリーが設置されていたはずでしたが……それは何処に?」



シエラジュエリー

対魔族用の結界であり、大きさによって効果範囲も変わる

これがあれば、内部へは魔族は干渉できないという物質




ギルは生まれたての子鹿のように足を震わせながら立ち上がり、知らないとだけ言った

しかし、その言葉は最後まで発せられない

横に太刀の刃が壁に突き刺さっていた


「もう一度聞く。…シエラジュエリーは、何処?」


相手はお偉いさんなのに敬語が既になくなり、冷めた目で相手を見つめ凍てつくような声でコトノはそう言った