膝を折り
傾いた身体を腕に抱く
桜を蹴散らし滑り込んだ俺を
虚ろな目で腕の中の女が
みあげた。
『やっと・・・つかまえた』
緊張で、はにかみながらも
笑みを浮かべれば
ただ、無言で瞳を見開き
俺を呆然と見上げる彼女は
『・・・もしかして』
俺の名を呼ぶ
彼女の瞳は
みるみる間に瞳が潤んで
『ずっと待ってたーーー
・・・まだ、間に合う?』
なんとか絞り出した
俺の言葉に
何度も首を縦に振るから
瞳にたまった涙が
パラパラと
頬を弾けた。
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