あまりにもそのことを聞いてなかったので、社長に聞いたら嘘をついてると的中。

おかげでこうやって
怒鳴ることができているというわけで。

「ちっ、騙そうと思ったのにー」

悪魔の顔を浮かべた美浜は崩してそんなことをボソッと呟く。

…そんなの許すわけない
最初から騙そうなんて…馬鹿げてる。

「騙されないわ。そんなのするなら言い訳したって無駄だからね?」

美浜はこうでもしないといけない。

言い訳はよくすることだとわかっていた私は意地悪くそう問いかける。

案の定、

わかると気づいた私に
睨みをぶつけながらため息を吐く。

「……もう、面倒。あんたって。
いつもいつも騙されないってなんでなのよ」

それはーーーー

「それは美浜が悪いの」

「はいはい…わかったから。これから始まる時間だから急いでいこう?」

私から言われるの嫌だったみたいに適当に流し始めた美浜は皺を寄せて、

真っ直ぐな視線で「行こう」と似合わない不気味な笑いをしながら私の手を掴む。


「そうね」

その納得に私はホッとした。

そして掴まれた手は勢いにのってグッと引っ張られ、私の勤めている階へと階段をおりていく。

この瞬間は気持ちいい。

ちゃんと連れて行く美浜のいいところは私だってわかってるからこそ、


すごく幸せだった。


(お母さん、お父さんーーー)

もちろん、苦しかった生活も。