屋上のドアは、一番はじっこの校舎の階段を四階まで上がればすぐに見えてくる。

この学校にはエレベーターがないため、階段で4階まで上がるのは結構きつい。

わたしはこのきつさを1日に何度も体験していたため、足がどれだけ鍛えられたのか計り知れない。

最初のころは3階ぐらいで壁に手をついていたのだが、今は1段とばしで一気に4階まで上がることができる。

屋上のドアは錆びついていて、開けるとぎぃっと鈍い音がする。

屋上に出ると同時に夏特有の肌を刺すような光に目を細めた。

空は雲ひとつ無い晴天。

太陽はこれから消えるわたしをお出迎えするかのようにさんさんと輝いている。

微かに風も吹いていた。

生ぬるくて、お世辞にも気持ちがいいとは言えない。

屋上の柵は立入禁止ということもあって、いとも簡単に越えられる低いフェンスだけだった。

わたしは歩くスピードを落とさず当然のようにフェンスを越える。

そして、コンクリートのギリギリのところに立った。

下を見ると硬そうな灰色の地面が見える。

部活動の音や掛け声が、どこか遠くで聞こえる。

なにもない人生だったなぁ…

ぼんやりとそう考え、わたしは足を…






宙に投げ出した。