びしゃびしゃになったブレザーのジャケットを砂浜の上に広げて乾かす。

濡れた足も拭くものがないので砂浜の上に投げ出し、横になる。

雲ひとつない真っ青な空はわたしたちを見下ろしている。

太陽の光がジリジリと眩しくて、目を開けていられない。

でもそのおかげで制服はすぐに乾きそうだ。

私の隣に蓮も横になる。

「…光、」

「…なに」

「さっきも聞いたけど…光んち、門限ないんだよな?」

「さっきも言ったじゃん。…ないよ。」

「じゃあさ、」

蓮は横になったまま、顔だけをわたしに向ける。

「今日一晩、ここで過ごさねえ?」

「?!」

驚きのあまり声が出ず、ガバッと起き上がる。

「ここ、田舎だし、あそこの民家も人が住んでるのかさえわからない。だから一晩ここにいても危なくはないし…別に大丈夫だろ?」

いやいやいや、たしかにここは安全そうだし、お母さんはあまりうちに帰ってはこないから…いいと言えばいいんだろうけど…

問題はそこじゃない。

…一晩中2人きりってことなんだよ?

固まってなにも答えられずにいると、じゃあ決まりなって、一方的に決められた。

勝手に決められてもらうと困るんですけど!

「なっ…あ、でんしゃ…電車電車!」

ここでふと次の電車が来るかもしれないじゃんという事を思い出した。

それで帰れば…

「時刻表なら来るとき見たよ。俺らが乗ってきた電車が今日最後のだったみたいだぜ?」

さらっと衝撃的なことを言う。