「おい、佐々木。。弓道場を下見なんてする意味あんのかよ。」
そう言いつつ俺と佐々木は隣の弓道場まで足を運んでいた。

「意味なんかねーよ、俺が見たいだけだ。きっくーも見よーぜ。」

「佐々木はマイペースだなぁ、遅かれ早かれ弓道場を見ると言うのに。」
俺は少し呆れた様子で歩を進めていた。
約5分くらいすると、すぐに弓道場まで着いた。

弓道場はフェンスで囲まれていて、出入口は1ヵ所、車の出入りも可能で、以外と広かった。

「ここからだとなかなか見づらいな、回り込んで向こうから見るか?」

「あ、それいーねー。行こうか。」
さすがに中にはいるのは良くないと思い、弓道場を回り込んで、道場の中の様子がよく見える場所を探しながら周りを徘徊していた。

すると、2つの人影が見えた。

「きっくー、誰かいるぜ。行ってみるか?」
と、佐々木は少し小声になっていた。

「ん?別に気にしなくていいだろ、俺らみたいに下見に来てんじゃねーか?」
と、少し冗談混じりで話しながら歩いて行くと、向こうの二人が俺達に気づき、こっちに来た。

二人とも男子で俺と同じ制服、身長は二人とも160前後だ。

どんどん近づいてくる、全然知らない人だ。

いつの間にか佐々木との会話が途絶えている、その二人のほうに集中しているからだ。

なんのためらいもなくこっちへ向かってくる。

すると、いきなり目線があった。
しかしその後二人は何事もなかったように通りすぎていった。

俺と佐々木が一気に緊張をといた。

「ぶっふー、全然知らない人にこっち来られたら俺でもさすがにビビるわ、なぁきっくー。」

佐々木は中学の時からなかなかのチキンだが、今回もいいビビりっぷりをしている。

「なんだよ、ただ通り過ぎていっただけじゃんよ、相変わらずのチキンだな。」
と言い残すと、さっきの二人がいた場所まで行ってみた。
すると、弓道場の中が何の障害物もなく見えた。中は結構きれいで広い。
中から外に続き、その突き当たりには的がある。

「これが弓道場かぁ~」

「初めて見た。」

二人は少しの間、弓道場をまんべんなく見ていた。