恐かった。もう独りでよかった。


「同情なんかよしてよ、君に解ってたまるかよ」

苛々した。恐かった。憎んだ。嫌いだった。






悲しかった。


「……」
いつの間にか、君はいなくなってた。






好きだった。


「…」
とうとう涙何てものが頬を伝っていたくらいに君が好きだった。


遠く遠くに吠えた。泣きながら、君に届くように。

いつの間にか何世紀も何世紀も越えていたことは知ってるけど。

それでもまた君に会えるように。

またその長い髪をなびかせて褐色の指を哀しいほど白い僕の指に絡ませて、笑って欲しいから。



あの時城の隅に一本咲いた花はもうとっくに枯れてしまったけれど、僕に刻み込まれた記憶を頼りに、また何千年先も、何万年先も待ち続ける。