それにしても、やはり彼と手を繋ぐと懐かしい気持になる。


温かくて大きい、すこし骨ばった手。


彼と手を繋ぐのは今日が初めてのはずなのに何故だろう。


何か大切なことを忘れている気がする。


もしかしたら記憶を無くす前のことかもしれない。


すると、ピリッと頭に何か衝撃が走った。


その瞬間、脳裏にビジョンが映る。


そこには小さい男の子と女の子がいた。





「ねぇ…あの学校になにかあるの?」


男の子が女の子に訪ねた。


「…何かある訳じゃないよ。でも私、お城みたいなあの学校にいつか行きたいなって思ってるの。」


そう言ってその場所を見つめる女の子。


あれは、星華高校!この子たちは…誰?


「ぼ、僕もその学校行く!」


「じゃあ、約束ね。いつか、あの学校で会おう。」





そしてビジョンは消えた。


今のは…何が起こったの?


もしかしたら、過去の出来事なの?


あの子達は一体…


そう考えを巡らせていると、「どうした?大丈夫?」と圭人君が心配そうに見つめていた。


「えっと、うん。大丈夫だよ?」


心配させまいとめいっぱいの笑顔で返す。


今は過去の事を気にする場合じゃない。これからの事を考えなきゃ。


そう固く決心したのだった。