そうして始まった記憶のなくなった私の生活はやはり戸惑うものばかりだった。




私の母だと言ったあの女性と共に帰ってきた私の家。それは確かに覚えている私の家だった。


一軒家の、薄茶色で三階建て。someyaと書いてある表札。庭の、春には満開になる私のお気に入りの花壇。


私の大好きな家。


夕飯を食べながらその人は今までのことを少し話してくれた。


その人…お母さんの名前は染谷美里。職業はファッションデザイナー。


父は、私が小学校低学年の時に既に他界しているらしい。


そんなこんなで、知っているはずだけど知らないお母さんとの生活が快適であると言えるはずがないのだ。