それからは、先生と女性は何か話していた。


私はただ、自分に起こっていることが信じられなくてこれは夢なんだと心の中で繰返し訴えていた。


だって、記憶喪失なんて映画や本の世界の話だと思うでしょ?


まさか自分がそうなるなんて思わないよ。


たまたま今日思い出せないだけかもしれない。明日になれば思い出せるはず。


私はひたすら言い訳を探した。





その間、ナースさんが「点滴終わったから外すね。」と言って作業をしている。


左腕にある管を見て、きっと気絶して運ばれてきたんだなと考えてしまった。



もうこの状況では認めざるを得ないじゃないか。



私は気絶するほどの何かがあって、病院に運ばれて、目が覚めたら記憶がなくなってた。そう考えるのが妥当だ。





暫くして、先生に今日は検査入院して下さい。明日には帰宅出来ますから。と言われ、先生もナースも去っていった