「お前、身体のことと家庭のことは、谷原達には?」
「いえ、まだ……。」
「そうか。でもお前、目の色、良くなったな。」
「…え?」
目の色?なんのこと?
「ああ、言い方失礼だったか。面接の時はなんだか曇ってたんだよ。お前の瞳。でも今は光があるな。お前の中で何かが変わったんだろ?それはきっと谷原達のおかげだろうな。よかったな。」
私の瞳が曇っていた、か。
私の瞳に映る世界は灰色の世界で、キラキラ輝いてなんかいなかった。
今は少しだけ、彼らといる時は色が付いているように思う。
それは紛れも無く進歩していることなんだろう。
「はい。」
「まあ俺も何かあったら力貸すから。お前の事情も分かってるし、学校のことだけじゃなくてもいいよ。何かあったら遠慮なく言えよ。」
そう言ってまたニッコリ笑った。
暖かい笑顔。私を落ち着かせるような、そんな雰囲気。
きっと先生は私のことを心から理解してくれてるんだ。
今までの担任は壊れ物を扱うような対応だったから、あまりいい気はしなかった。
でも先生はみんなの前でみんなと同じように振舞ってくれた。
皆と私を対等にしてくれるように支えてくれてるんだ。
「はい。ありがとうございます。」