「え!?左側にいたあの先生?」
そう、私の目の前にはあのコワモテ先生がいた。
メガネをかけて前髪をかきあげた姿はまさにそのものだ。
同じ人なのにこんなにも印象が違うのか。
「まあ、分からなくて当然かもしれないな、今はこんなんだし。」
と言いながらメガネを外して髪を整える。
「まあ、それは置いといて、その時色々質問しただろ?その時の最後の質問のお前の返答は覚えてる?」
それは確か、星華高校に志願した理由や中学時代に努力したこと、自己アピールなど色々聞かれたあとの質問で…。
゛あなたにとって幸せだと感じる瞬間はどんな時ですか?゛
という質問だったはずだ。
面接練習ではそんなの聞かれなかったし考えてもいなくて、それに幸せだと感じる瞬間なんて分からなかったし、あの時は確か…。
「『すみません。幸せってどういうものか分からないので、答えられないです。』と言ったと思います。」
結局、素直にありのままを言ってしまったんだ。