圭人君どうしたんだろう?と思ってると「染谷。」と先生に話しかけられた。


「お前、最近どうだ?係の仕事とか、上手くいってるか?」


「えっ……はい。」


何でそんな事を?何かアクシデントとか起こしちゃってたのかな。


「そうか、それなら良かった。」


先生は聞いた理由を話したくないのか、返答を聞いて満足したのか、それ以上は黙ってしまった。


しかし気になって仕方の無い私は「何でそんな事を?」と、口を開いた。



少しだけ間が空いて、普段のニカッと笑う顔ではなく、凄く真剣で、でも冷たさは感じない表情になり、話し始めた。



「入試の面接の時、俺がいたの覚えてるか?」


面接?たしかにこの高校を受験した時に面接試験があったけど、面接の先生3人いて、3人ともメガネをかけていた気がする。とくに左側にいた男の先生はコワモテだったな。


「えっと、3人ともメガネかけてた気がするんですけど、先生、違う生徒と間違えてませんか?」


すると、先生は短くため息をつき、「じゃあこれで分かるか?」と言って机に向き直り、引き出しを開けて何かを取り出し、こちらを見た。