こうして、無事?に体育祭の種目が決まった。
のだが…
「さて、後は係決めだが、誰かやりたい人いるか?」
そう、係決めである。
「陽ちゃんそれ聞いたってやりたい人なんていないんだから意味無いでしょ〜。」
という生徒の声。
その気持ちも分からなくはない。
係=雑用というのを皆分かってしまっているのである。
「お前らな〜、高校の体育祭を作り上げるんだぞ?いい係じゃないか。やりがいもあるし。」
「じゃあ陽ちゃんがやればいいじゃーん。」
「そうだよ〜。」
「残念。俺は先生だからだめなんです。こういうのは生徒がやるからこそ意味があるんだぞ。」
「えー。」
「やだよ絶対めんどくさいじゃん。」
「放課後時間取られるしさー。」
生徒達のブーイングの声が高まった。
確かにそうだなと思いながら何も言わず窓の外を見る。
何かを見ている訳では無いが、こういう時間は好きではない。
押し付け合いになるのが決まっているから。
そんな雰囲気を見越したのだろう、言葉を続ける。
「それにな、…」
それは私の耳によく通る声だった。
「お前達はまだ高校生だから分からないだろうけど、大人になるとこういう事が懐かしく感じるんだ。」