「やった、決まりね。陽ちゃ〜ん、私と海は借り物やる〜。決定だからね〜。」
と、黒板に向かって大きい声で言う
ちなみに陽ちゃんとは担任のことであり、本名は木村 陽太(きむら ようた)。
最初の頃は真面目な先生かと思っていたがここ数日は慣れてきたのか笑顔が増え、授業はジョークを出しつつ分かりやすい内容で、生徒とも仲良くなっているらしく人気が急上昇中。
そんな感じで生徒からは「陽ちゃん」と愛称をつけられたのだ。
そりゃあ若くてイケメンでスタイルもいい先生だもん、人気が出るわけだよねーと杏ちゃんはよく言う。
そして担当教科は英語。
これまた私の大の苦手科目なのである。
「瀬野と染谷か?はいよ。」
黒板にスラスラ私達の名前を書く陽ちゃんこと木村先生は、私から見ても普通にかっこいいと思う。
なんか、モデルっぽいみたいな?
「海と杏は借り物かー、俺らはどうする?」
「何言ってんだよ圭人、俺らは決まってんだろ?」
と、圭人君といつの間にか近くにいた和哉君が話していた。
「え?なんで?」
「ここの学校、クラスで足の速い男子上位2名は強制的に200m走なんだってよ。」
「ふーん。俺らに関係ないじゃん。」
「はぁ、お前さー、うちのクラスで1番目と2番目に足速いの誰だか知ってる?」
「は?うーん、俊とか?」
俊っていうのはうちのクラス唯一の陸上部である。
俊君たしかに速そうだもんねー、うん。
「違うんだよなそれが。」
「じゃあ誰だよ。」
「1番がお前で2番が俺。」
「…………まじか。」