ピンポンピンポン!


ガタガタぴしゃっ


「パパ!」

「あ、お姉ちゃんだ」

鍵持ってるくせに、呼び鈴何度も鳴らすんだよね。
なんていうか遠慮がない癖、そう言うの律儀っていうか、
めんどくさい。


「パパ大丈夫!?」


「ああ、詩信がいてくれるから」

お姉ちゃんはふうんと、

私を見上げると

面白くなさそうな顔をした。


そして何か思いついたように笑顔になると、

私の肩をポンポンと叩きながら、


「しのちゃんは仕事あるんだから、

明日は私がついてるし、

心配ないよ、

ね?パパ?」


決定事項を告げてきた。

疑問形なのはあくまで、体裁だ。


「お姉ちゃん、店長休んでいいって言ってたし、

 お姉ちゃんは仕事あるでしょ?」


「大丈夫、公務員はきっちり休みあるから、

 取る権利もあるしね。


 あんたはバイトに毛が生えたような仕事なんだから、

 休んじゃ駄目よ?


 クビになっても知らないわよ」



「そうかな、ハハ、クビって

 ひどいなあ」

私だって何時も反撃しないわけじゃないけど、

お姉ちゃんの決定事項は絶対だ。


「あは、じゃ、お願いしちゃおうかな、

 助かるよ、ありがとおねえちゃん。


 さあてと、私お風呂に入って寝るね」


 パパの身体をふいたタオルと桶を持って立ち上がった。

今の棒読みみたいなセリフ、

自分では変だと思うけど、

お姉ちゃんたちには普通に聞こえるはず、

だってその方がお姉ちゃんにとって都合がいいから。