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バスの窓から入ってくる風、心地いい。


外に向かって手を伸ばして、

空気の流れる感覚に酔う。


「ごほんおほん!」

となりの席の人が咳払いして、

あわててがシュッと閉めた。


春めいてきたとはいえまだ冬、

寒い空気をバスに入れるには早い季節。


気がつけばみんなが私を迷惑そうに見ている。

「すみません」


謝ってから

首をすくめて俯いた。


さっきのやり取りを思い出して、

かっと身体が熱くなった。


私ってば、出会ったばかりの人なのに、

ペラペラと、

どうしちゃったんだろう?


それにしても、彼、

宮直樹君っていったっけ、

妙に縁があるよね。


そして、

クリームまみれで泣いてる姿思い出して、

ぶぶっ


吹き出してしまった。


男の子って泣くんだ?


なんか可愛い。


なんて失礼すぎでしょ私。