「きゃっ」


小さな悲鳴に顔をあげると、

一番見られたくない人に見られてしまった。


「ど、どうしたんですか」


「け、ケーキを」


「そ、それは見ればわかるけど、

 なんか壮絶なんですけど」


「す、すみません……っうっうっ」


「ああっちょっと泣かないでくださいっ」

 

「泣いてないですっ

 すみません俺っ……」


「クリームが顔にっああっ落ち着いてくださいっ」


一番見られたくない人一番見られたくないところを見られて、

パニクった俺は事もあろうか泣きだし、

それを隠そうと

ケーキをつかんだ手で、顔の表面をクリームだらけにしてしまう醜態を彼女にさらしていた。