葉月ちゃんが、

帰っていってから、

お互い何を話していいかわからなくて、

二人とも黙り込んだ。


さっきまで重たくて動かなかった体が嘘みたいに感覚がなくて、

殆ど夢のなかみたい。


思考力もきっと半分。


「しのちゃんは……」


「俺に別れをを言うつもりで来たの?」


「……うん」

「そっか、俺がなんて言おうとそれは変わんないの?

あの人が好きなの?

だよね、カッコイイもんね。」



「違うっ……でも……うん。


陽くんは私のこと全部知ってるから、

だから……」



「そっか……」


「ごめんなさい」


何も言えなくなった。


しのちゃんが自分の全てを告白してくれたとき、

どうしてもっと真摯な態度で受けとってあげなかったんだろう。


過去も全部引っくるめてしのちゃんなのに、

自分の理想として作り上げた彼女と、

リアルな事実に怯んでしまった俺に、

しのちゃんは失望したに違いない。