「具合、悪かったんだってね?」

「あ、うん。なんか情けないよね、

はは……」


「私のせいなんでしょう?

ごめんなさい。」


「いや、そんなことないからっ」

「私たちなんか会わない方が良かったのかもね」

「な、なに言ってるの?」

「これ、あったの。

私の部屋。

ダメだな私。

自分のことばっかで。

ごめん

なおくん。

付き合うのもうやめていいから。

私、なお君と付き合う資格ないや」


携帯をそっと俺の枕元に置くと、

「じゃあね」


悲しそうな笑顔で俺を見つめる。


「ちょ、待ってしのちゃんどういうっ」

ガバッと起き上がって、

けど情けないかな、立ち上がったつもりの足は布団にとられて、

俺は床に音をたてて崩れ落ちた。


「だ、大丈夫?」


「ごめん」

なんでこうもカッコ悪いんだ、

彼女に別れを告げられて尚、

醜態をさらすしかできない男っ、

最悪だな。


「こっちこそごめんなさい。」


「あのさ、こんなこと言いたくないけど、

相手が具合が悪いのをいいことに、

言いたいこと言い逃げるとか、

ちょっとひどいんじゃない?」


「え?」


「え?」


不意に聞こえてきた声に、

ふたりっきりじゃなかったことを思いだした。


「すみませんねーお邪魔虫で!

取り敢えず私は帰るわ。

彼女さん。

しのぶさん?


逃げるのは駄目よ。

きっちり話し合って、

別れるならそれは仕方ないとは思うけどね。」