*********

「……なさいよっ!」



っるさっ、

なに騒いでんだよ。


ってか、ここどこだっけ?


重い目蓋をやっとのこと開くと、

女の子が二人?



え……と




ぼんやりした輪郭がはっきりしていくに従って、

意識もはっきりとしてきた。



「…しのちゃん?」




やっと動く唇で彼女の名を呟く。



「なおくん……」



間違いない彼女の声に俺は反射的にガバッと起き上がった……つもりが、


力が入らなくそのまま元の位置に戻ってしまった。


「また熱が上がったみたいね?

薬飲んでないんでしょ。

 しっかりしてよね」


葉月ちゃんはおれの枕元をポンポンと叩くと、


「良かったね。彼女が来てくれたわよ。

これで、体調も良くなるんじゃない?」



そういってニッコリと笑った。


夢なんじゃないかと思うほど、

信じられない気持ちでしのちゃんを見上げると、

戸惑いの表情で俺を見ている彼女。


フラッシュバックするのは、

目の前から遠ざかって行くバスの窓。






「しのちゃん……あの……」